■時効完成の要件
相続税は、税務署からの請求がないまま一定期間が経過することにより、時効消滅します。時効が成立するためには起算日から一定の年数が経過することが必要になりますが、この期間は相続人の善意・悪意によって変わってきます。法律上は、ある事項を知らなかったことを善意、知っていたことを悪意といいます。
〇相続人が善意の場合
相続人が、自身に相続税の納付義務があると知らなかった場合、相続税の時効期間は5年間です。つまり、相続の開始(被相続人の死亡)があったことを相続人が知った日の翌日から数えて5年間が経過すれば、時効が完成します。
ただし、時効が完成するまでの間に税務署から通知等が行われると、それまで進行していた時効はリセットされてしまいます。これを、時効の更新といいます。この場合、時効が完成するために新たに5年間が経過することが必要になります。
〇相続人が悪意の場合
相続人が、相続税の納付義務があることを知っていた場合、相続税の時効期間は7年間に延長されます。したがって、相続人が相続の開始を知った日の翌日から数えて7年間が経過してようやく時効が完成することになります。
善意の場合と同様に、税務署からの通知等が行われると、善意の場合同様、時効のカウントがリセットされてしまいます。
■時効が成立するケース
以上を踏まえると、相続税が時効により消滅するのは、①相続人が相続税の納付義務に気付いておらず、税務署が通知等を行わないまま5年間が経過した場合、②相続人が義務に気付いていながら納付せず、税務署が通知等を行わないまま7年間が経過した場合という2つのケースです。
しかし実際には、税務署は財産の流れをくまなく調査しているため、納付漏れに気付いて通知される可能性が高いです。そして、通知を受けてから納付した場合、加算税等のペナルティが発生する場合があります。
そのため、時効の完成に期待して申告しないという選択肢は避けるべきでしょう。
税理士法人三村会計事務所では、東京都豊島区を中心に税務相談を承っております。相続税申告や相続税対策、遺産分割協議、生前贈与などでお困りの方は、お気軽にご連絡ください。
贈与税の時効は何年?成立するケースとは
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